バイブコーディングの要件定義で気をつける7つのこと — 「思ってたのと違う」を防ぐ書き方
Lovable や Base44 でアプリを作るとき、多くの失敗の原因は「AI が下手だから」ではなく「依頼の仕方が曖昧だったから」です。エージェント型の AI は、ゴールが曖昧だと「それっぽく」動けてしまいます。つまり要件定義は不要になったのではなく、コードを書く前に完成形を言葉にする力そのものが新しい要件定義になりました。この記事では、実測で効いたと感じた「事前に決めておくべき7項目」と、指示の書き方の型を整理します。
自然言語でアプリを作る時代の要件定義は「書かない」ではなく「書き方の問題」です。
AIが迷わない指示の型と、事前に決めておくべき7項目を整理します。
まず知っておくべき性質:AI は「言われていないこと」を勝手に決める
プロンプトに書いていない仕様は、AI が「よくある実装」で補完します。データの保存先、ログインの有無、削除の可否、画面遷移——書かなければ全部 AI 任せになります。そして後から「違う」と伝えるより、最初に5分書いておく方が安い。これが要件定義の本質です。

事前に決めておく7項目(テンプレ)
- 誰が使うか・何をしたら成功か — 「1人の店主が、当日の予約を確認できれば成功」のように1文で。
- データの一覧 — 扱う情報を名前で列挙(例: 予約=日付/名前/人数/備考)。ここが曖昧だと画面もDBも揺れる。
- 操作の一覧 — 見る・作る・直す・消す、の4種で画面を洗い出す。CRUD が書けたら画面の9割は決まったも同然。
- ログインの要否と権限 — 「ログイン必須。見るのは自分のデータだけ」を明示。これが無いと公開時のセキュリティ問題に直結する。
- 入力チェックとエラー表示 — 必須項目・文字数・形式。AI はデフォルトで寛容すぎるので指定する。
- 日本語表示の指定 — 「ボタン・ラベル・エラーメッセージはすべて日本語」を必ず書く。英語混じりで生成される事故はこの一行で防げる。
- やってはいけないこと — 「本番データは入れない」「決済は実装しない」等の禁止事項。AI は積極的に盛り込む癖があるので逆方向の指定が効く。

指示の書き方の型:長文より「区切られた指示」
実測で効くのは次の順番です。
- 一気に書かない。 まず最小の核(1画面+1データ)を作り、動く形を確認してから足していく。追加は1回1機能。
- 「〜なアプリを作って」より「以下の仕様のアプリを作って」。 仕様を箇条書きで渡すと生成のブレが減る。
- 画面ごとに確認してから次へ。 複数画面をまとめて依頼すると、ズレが後で発覚して手戻りが大きい。
- 修正指示は「現象+期待」で。 「変」ではなく「○○ボタンを押すと何も起きる。押したら△△と表示されるようにして」。
- 良い例・悪い例を示す。 参照したい画面や競合サービスの URL を渡すと、デザインのブレが大きく減る(nicelydone 等の実例集も有効)。
ありがちな失敗と対処
- プロンプトが長すぎる — 1回の指示に詰め込むほど AI は項目を見落とす。7項目テンプレは「最初の1回」と「機能追加のたび」に分割して渡す。
- 「使いやすい」などの抽象語 — 「3クリックで予約完了」のように数値化・条件化して伝える。
- 要件を増やし続ける — 生成が速いので際限なく足したくなる。まず「成功の定義」に必要な最小集合だけ作り、残りは次のバージョンへ。
- 事前インプットを渡さない — 対応表・用語集・画面イメージを先に渡すかどうかで完成度が変わる(検証済み。事前インプット記事参照)。
発展:要件は「最初に書く」だけではなく「現状を点検する」
もう一手間、効くのが定期的な現状の言語化です。開発が進むと、最初の要件と実際の実装がズレます(後から追加した修正が仕様に反映されていない等)。そこで筆者は、区切りごとに AI にこう依頼しています。
- 「今の状態で一旦仕様をドキュメントで書いて」— 逆引きの仕様書ができる。次の指示の精度が上がる
- 「今の状態でセキュリティをチェックして」— 要件に書いたログイン・権限が実装に反映されているかの点検
- 「今の状態で開発負債がいないかコードレビューをして」— 積み重ねた追加指示の矛盾を拾う
- 「今呼び出している Supabase の関数を書いて」— 依存の棚卸し。手戻り前に問題が見える
これは「要件定義を毎回最初からやり直す」のではなく、実装から要件を復元して目視するループです。7項目テンプレ(最初の紙)とこの点検ループ(進みながらの更新)が揃うと、AI に任せた開発でも仕様と品質が手から離れません。セキュリティ点検の具体的な手順はセキュリティ確認プロンプトの記事を参照してください。
まとめ:要件定義は「1枚の紙」に落とす
7項目は A4 の1枚に収まります。バイブコーディングの速さを活かすには、書くのは5分・作るのは AI・確かめるのは自分の分業が鍵です。セキュリティ面(RLS・ログイン)の要件は、セキュリティ確認プロンプトの記事とセットで運用してください。
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